Ken Ishigaki : 石垣 健




Note of Designing Code  "帰還"  Pottery  1979  第43回新制作展  東京都美術館

造形ノート
 造形におけるモデュールとはプロポーションを統合しハーモニーの基盤を整えた数理的モデルである.この作品に使用したモデュールは,生み出されるプロポーションに黄金比とその仲間を加えたもので,フィボナッチ数列を基準にしかつ,完全方陣に変換可能なモデュールとした試作である.これらを寸法モデュールとすると黄金比とその仲間(指数的比例関係)が,フィボナッチ級数の和による増加によって組立てられ,アナログ的な視覚的比例関係の繊細な対比とデジタル的な物的寸法の和の一致が一体となり,また完全方陣にも変換が可能となる.

 基本としては,1から144までの数で,全ての対比を表そうということなので,不自由さもあるが,それ故に概略的指定が制作時の面白さにつながる.1=1cmとしても十分実用的だが,それぞれの節目の寸法が意味を持つように作品に合わせて調整することも面白い.問題は,どんなモデュールであれとことん追求しその特徴を生かすことが重要で逆に言えば,固有の表現のために固有のモデュールが作られてこそ自然なのだ.しかし,造形とは自然の模写ではない.人間の感性を如何に拡張させるかという試みである.



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