arsnote labo. は,デザインプロセスの研究・開発による斬新なデザインワークを提示し,クライアントへのアドバイスを行っています.


COMA DESIGN STUDIOで,長年続けていた,デザインプロセスの研究「造形ノート」を,新たなオープンプロジェクト "arsnote"によって展開しています.
 また,アルゴリズム造形の視点(注1)を基本に,造形教育プログラムへの参加を行い,一人の人間として,芸術し,科学する生き方を,日々模索しています.
(注1):(Algorithmic Art)--- 「CG 入門」丸善 2003年刊行の第5章「情報デザイン」執筆担当/石垣健 ,を参照
arsnote sample
Compsym2a.ars
LoadImage ( "Compsym2.bmp" ) ;
SetCylinder ( 0, 0.236, 0.236, 0.162 ) ;
SetCylinder ( 1, 0.75, 0.25, 0.1 ) ;
SetWeight ( 1.0 ) ;
SetRotation ( 0, 1, 20, 300.0 ) ;
SetRotation ( 1, 1, 20, 300.0 ) ;
CaptureImage ( 01, "Compsym2aCap01.bmp" ) ;
arsnote labo. は, 「事物」と「心象」の間に介在する日常の「言葉」のように,「かたち」を創造するプロセスの「作動する記述」として"arsnote"を活用し,芸術的観点と、科学的観点を融合させたアートワークを創造します.


"arsnote"は,簡潔なスクリプト(筋書き:共通言語としてのスクリプト的プログラムや既存ソフトの活用)によって,クライアント固有の情報処理システムを作動させ,計画者と製作者を柔らかく結ぶ,創作性の高い,プロセスデザインです.

 わたくしたちは,日々自然のなかに棲んでいます.常に自然の造形プロセスを目の当たりにし,それを受けとめ,享受すると共に,主観と客観を交えながら観察し,想像し,模倣し,理解し,創作をも加えます.


 科学の視点は,対象を分類し,捨象し,客観的に見つめ,抽象的理解の仕組みを表現し,世代を越えて伝承することによって,人々を無知の恐怖から解放してきました.そして科学技術は,その抽象的把握に実証的行動を加え,アイディアの助けを借りながら具現化することで,行き過ぎた欲望に惑わされながらも,人間社会に多大な成果と貢献をもたらしています.
 一方,自己の内面的世界を,その自立性を,表現力によって外在化させ,自己の確立をサーポートする芸術は,その習得過程において,情報の抽象的操作と具体的表現行動が融合され,認識とその表現が更新されていきます.おそらくこの思考と行動の中で,リズムやバランスの感覚が養われ,科学的観点では言い尽くし難い,人々の内面的世界の成熟が高まります.そして,多様の統合を促す不確定な力も加わり,自己の尊厳を支え,人を感動へと誘う,全身全霊による表現が生みだされていくのです.




 歴史的に見れば,これらの個々の表現の膨大な累積は,芸術と科学の領域を限りなく広げ,現代人には,多様な選択肢をあたえ,限りなき自由をもたらすかに見えます.しかし,意外にも若者の歩む道は,就職への不安から文系,理系などと分け隔てられ,精神的バランスの欠如をもたらしています. 芸術と科学の距離は,おそらくは,個々の想像力も手伝って,物と命の距離以上に,遠く感じるのかもしれません.しかし,明らかにその両者の距離は,一人の心体の中に収まるべきとも言えるのです.まるで背中合わせに正反対を見つめる二人が,背中の温もりを通して向き合っているような切なさ.こんなやるせない夢のすれ違いに,「作動する言葉」の橋を架けよう等とは,無理なことかもしれません.しかし,これほどまでに多くの生涯を費やして蓄積された芸術と科学の花や果実を目前にし,新しい透徹した視点を探し出し,自己の視点の連続性を獲得したい衝動は,互いに他者である一壺の人間として,極めて自然なことではないでしょうか.背中合わせの視点を,相互に巡れる一人の視点に戻すため,情報科学のもつ新たな知的空間は,虚空へと流れる視線を,己へと引き戻す重要な役割を果たすでしょう.
 情報科学は,芸術的表現を冷静に分析し,認識の構造にせまり,自己の探求を探る,大きな手がかりとなっていくでしょう.
"arsnote"は,CGシステムに連動した「作動する言語」を使って,そのプロセスの再現性を確保し,迅速な造形的シミュレーションを行います.自己の表現性とは,どのように生まれるのか?思い入れを受け止める表現力は,身体性のどこに潜むか?再現された自己表現のシミュレーションは,参加者にクールな自己分析の視点をもたらします.

"arsnote"は,デザイナー,プログラマー,エンジニア,パーフォーマ等,それぞれから提案される,認識・行動のプロセスを簡潔に記述した,共有の言語表現です,

"arsnote"は,アルゴリズムを介して対象とする科学・技術を,できるだけ身近な作動する言語表現に置き換え,会話を介して工芸的手法とも接続しながら,相互の心体性の接続を目指す,シームレスな造形計画を模索しています.科学と芸術を,技術と技能を「作動する言葉」とそれによる可視化をとおして共有するイメージへとつなげ,強い固有性や地域性と接続してゆきます.なぜなら,それこそが真にグローバルな成熟であり,プルーラル・アイデンティティー(他者のいる,他者あっての,独自性)へと至る一つの道と考えるからです.情報科学は,私達をも,「初期化」し,人間が,記号性や言語性を使って何を為してきたかを省察し,踵を返す好機を与えています.

  科学的精神に学び,芸術の再認識を求めて

           2004.09.14
           2005.01.18
           2005.05.05
           2006.02.13
           2006.04.26
           2006.11.04

                             石垣 健

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