アルスノート研究所 / 研究紹介 
topic passはHomeの> 研究紹介の> 5.研究背景のページです.
更新: 16/09/09 <10/02/15
■ 1.前文. 2.研究の概要と理念.  3.研究の目的. ■ 4.研究内容. ■ 5.研究背景

■研究背景
更新:08/09/30 >>09/12/18>> 16/09/09
(この項目はまだ書きかけです.)
 
年代と出来事 研究と背景
   
1953年: J.ワトソン、F.クリックがロザリンド・フランクリンやモーリス・ウィルキンスの研究データの提供によって DNA の二重らせん構造を明らかにした。 1869: フリードリッヒ・.ミーシャー(スイス)がDNAを発見し,1871年にヌクレインという名で発表したが、彼はその役割を細胞内におけるリンの貯蔵と考えていたそうだ。後にリヒャルト・アルトマン(ドイツ)によってヌクレインは核酸と改称され,1885年に A.コッセルがアデニン,1886年にグアニン、93年にチミンを発見(ウィキペディアより).しかし,義務教育の中で左記の2重螺旋構造を含め,それが知らしめられるのはずっと後のことだった..過去を顧みれば確信ほど疑わしいものはない.
1954 平山諦 「方陣の話」 中教出版  
1957 ジョン・バッカス
John Backus (IBM) FORTRAN (FORmula TRANslator)を公開
1960 ヨーロッパでALGOLを公開
   
1961 "L’Œil et l’esprit" 『眼と精神』 滝浦静雄・木田元共訳 みすず書房(1966) "La Structure du comportement" (1942) 『行動の構造』 滝浦静雄・木田元共訳 みすず書房(1964)とともに『眼と精神』に出会うのは,邦訳が出版された1966年のことだ.その衝撃は何にも増して大きく,バッハの無伴奏チェロ組曲と共に,学園紛争を越え,新たな探求の情熱に目覚めさせる,真底奥深い情報であった,いまだに貴重な精神のよりどころである.
1964 ジョン・ケミー John Kemeny トーマス・カルツ Thomas Kurtz BASICを開発  

1964 平塚市議事堂外壁全面のPCコンクリート彫刻 「静と動」小野襄 72m,100ton.

1964 東京オリンピックが開催されたのは,私のような団塊の世代が高校2年の頃だ.銀座の道路は板張りとなっていた.(笑)川面がアスファルトに変わり,道路の下に鉄路が流れる.「メビウスの地下鉄」というSFを新設の路線で遠回りしながら読んだ覚えがある.

1966 デザイニングプログラム「ONOJIN」が小野襄により確立され,雑誌「デザイン」美術出版 1967 に「ONO 陣」として連載される.  Arsnote (旧:造形ノート)の研究は, 1967年,雑誌「デザイン」美術出版 に連載された 小野 襄著「ONO陣」を起点とし,以来,音楽の楽譜のような,造形の蓋然的抽象表現となる造形譜の確立を目指し,探求と制作を続けていている.

 『眼と精神』に出会う.じつに素敵な人達が居るものだ.本屋に行けば,必ずみすず書房の書棚を見るようになった.装丁も文句なしだ.
1967 佐藤稲三郎「方陣の研究」 (株)メラ・プリント  この本の後書きは印象深い.幸か不幸か,生涯を費やしても解けない研究があることを知ったからだ.絶版となっていた 平山諦 「方陣の話」 中教出版 1954 を知り,版元へ行って複写させていただいた.以来,魔方陣の研究には距離を置いて見ることにした.
1969 Max Bense 「Einführung in die informationstheoretische Ästhetik. 左記の著作が初めて邦訳されるのは1997年となる.
 M.ベンゼ著,草深幸司訳 「情報美学入門」 勁草書房 1997
1970 ベル研究所 UNIXの基本ソフト完成
DECミニコンピュータ上で動作するUNIXの基本ソフト(operating system OS)がベル研究所で完成していた.知る由もない環境であった.
<return>

1972 インテル社Intel 最初の8ビット・マイクロプロセッサIntel8008を発表 (3500個のトランジスタを集積).

1973 ウンベルト・マトラーナ&フランシスコ・バレーラ共著 『知恵の樹』.

1974 ゼロックス(Xerox)社 イーサネットの公開実験に成功.パケットスイッチング方式による有線で計算機相互間を接続するLANの普及がはじまる.
1979 Note of Designing Code "帰還 " Pottery 第43回新制作展 東京都美術館
を発表.完全方陣の特性を崩さずに,フィボナッチ級数への変換を行った.この対称等差数列は,方陣を一定の自由度がある比例のモデュールへと変換できる.
  建築系のデザイナーは,モデュールは古典的伝統と考えている.だが他の作家は別だ.数字で造形ができると誤解されてしまう.イメージをモデュール化していると言っても理解してはもらえない.そもそも図面的思考に反感をもっているようだ.その点,音楽系の作家は,理解が速く,リズムの概念への疑問を指摘してくる.そうは言っても音楽のリズムの概念も実に複雑だから,簡単には解決できない.平均律から12音技法に至るまで,よくぞまあ発展が続いたものである.それは記譜法のもつ活力なのだろうか.それとも,天才故の力か….そう考えると「造形譜」を作ろうなどと言う気力は失せてしまう.電子音楽は,音楽の進化かなのかまだまだ疑わしい.
1975 Bill Gates とPaul G. Allen, BASICをPCで走らせることに成功
1976 TK-80(Training Kit μCOM80)を秋葉原で初めて見た.日本電気(NEC)の半導体事業部が1976年8月に販売した、マイクロコンピュータシステムのトレーニングキットだそうだ.

1978 Dennis RitchieとBrian Kernighan, C言語を公開
1978 インテル社Intel 16ビット・マイクロプロセッサ(CPU)Intel8086(80x86)を発表. トランジスタ数29、000個を集積、クロック速度は5MHz、8MHz, 10MHzがあった,以後, 日本電気のPC-9801などパーソナルコンピュータに広く採用されパソコンの普及が始まる.対応するオペレーティングシステムには、MS-DOS、PC-DOS、CP/M-86などがあった。

1979 FORTRANプログラム/SISCOM79を作成し,FACOM230と渡辺測機(グラフテック)のプロッターの連携によって,作成した拡大魔方陣の3D画像処理による検証をはじめる.どんなにスピーディーに図化しても,己の認識が深まらない限り,美には近づけない.やがてソロバンとカラス口やロットリングペンの時代が終わることを確信した.しかし,日本の造形デザイン系の教育改革の動きは遅々としている.実は,それはコンピュータとは無関係な問題なのだ.

  産業革命の副産物である公害問題に解決の糸口がやっと見え始めたとき,両刃の剣である技術革新は,爆発的な情報革命を突きつけた.肉体はともかく知的労働においては冷酷な新陳代謝を迫られた.
1978.5 (昭和53年) 日本十進分類 新訂8版が刊行される。 総記の007 に情報科学が分類された.548の情報工学では収まらないからということもあろうが,総記に分類されたことは評価すべきだ.科学と言えども,これは横糸の役割をもつ視点となる.

1980 アルビン・トフラー
          『The Third Wave』


1981ジャン・ボードリヤール 『シミュラークルとシミュレーション (Simulacres et simulation)』(邦訳 竹原あき子訳, 法政大学出版局, 1984年)

 このころApple II パーソナルコンピュータを秋葉原で見つける.5インチのFDドライブが35万円もしていた.
  情報革命が,日本幕末の黒船のように,グローバルに国家の津々浦々まで解放を促すこととなるなどとは思ってもみなかった.それは世界的な知の共有でもあり,世界的な知の収奪ともなる.破壊的手段とならないことを願うばかりだが,ロボット化された人間と同等のことができるようになることは必至だ.

  1980年代まで,私はベンゼの一連の著作に出会う機会が無かった. もし出会っていればその美的状態への科学的取り組みに励まされただろう.しかし,その射程の広さは,とても追随できるものではない.具体的にコンピュータを使った展開は,川野洋氏のユニークな提言
川野洋著「芸術情報の理論」 新曜社 1972
に学ぶところが多かった.

 人間のパターン認識力なくして,芸術の鑑賞も成立せず,コミュニケーションの客観的検証には,共通のパターン認識としての表記が不可欠となる.これが造形譜の確立につながっていくはずだ.
 視覚的観点から見れば,乱数はまさに乱れた数字群であり,その利用は,周期性を拒絶し,リズム的事態を複雑化する.恐らくすでに,<カオス,構造,ゲシュタルト秩序モデル>を内包する人間のイメージ力を探求するには,素直にそのイメージの抽象化,数学的モデル化を模索するべきだと私は考えていた.整然と並ぶ順序数も,憎たらしいほど変化とバランスのある方陣や方格も,様々な乱数や複雑な関数すらも,視覚は的確にパターン認識によりその差異を見抜く力があるのだ.従って,それら全てが造形空間の構成要因となり,個性ある美を形成しうると考える.コンピュータが無くとも,人間には天賦の才がある.造形デザインは,情報科学的に自然形態の把握プロセスを探ること(いわゆるデッサン)によって,人為による形態生成のプロセスを創生し,常にその実証的研究を行っていたわけだ.やがてコンピュータは,その活動を機械として外在化し,人間としての生を心身共に問いただすことになるのである.
<return>.

1983 "アルペイオスの流れ"  Cast epoxy resin   1983 第47回新制作展  東京都美術館

1984 坂村健 「TRON」の開発を始める.
 自然の形の物理的プロセスは具体的で実に多様である.芸術の形のプロセスは,表現手法(ルール)によって様々に抽象され,表徴化も成されいる.極めて客観的な関数による形も,それらの複合によって様相を変える.それを見抜く人間の視覚とパターン認識.リズムとしての移行的変位は,意識を越えた領域からの賜物としてあるとき,初めて芸術的価値を構築するようだ.「論理性からの解放」.あるいは「明快なる神秘」は,決して美を汚すとは思えないのである.科学を恐れず,その統合された矛盾の香りを楽しみたいものである.
1987 ウンベルト・マトラーナ&フランシスコ・バレーラ共著 菅啓次郎訳『知恵の樹』朝日出 版社

1987.この邦訳に出会って,確信への誘惑を捨てるどころか,ますます深めることとなった.(笑)<知覚・認識・行動>,この生物としての自立的オートポイエーシスこそ,情報というネグエントロピーを包含し,複雑性や秩序では推し量れぬ「美のリゾーム」を生み出すリゾーム(根茎)なのだ.(笑)

1993 形の文化誌[1] アジアの形を読む エッセイ「かたちと対応表現」 工作舎

 化石は情報の置換だ.物質は,変質し,入れ替わり,形の関係だけが残されている.現代が化石化するときは,やっかいである,その膨大な記憶状態は果たして残るであろうか?記憶とは物理的実在として存在を持続する.目を見張るメモリー技術の進化を目の当たりにしながら,如何なる芸術と言えども,その存続には物質の安定性が不可欠であることを再確認した.情報を物質化してきた人間の文化は素晴らしい継承性を保っている.もちろんそのROM化的技術は,変革の妨げでもある.RAMであるはずのHDがROMのごとく蓄積されてくる.脳内の状態を反映する妙にリアルな光景だ.古いHDを開くと脳内の記憶も蘇る.すると脳がHDの中を散策し始める.全ての結果が残されているのは余計なことでもある.(笑) 歴史,特に現代史への価値観は大きく変わるであろう.“今と同等な過去” を“ 今と同等な未来” を今として判別したいものだ.

1994 Antonio R. Damasio
『DESCARTES' ERROR』

『デカルトの誤り』
1995 J.ボードリヤール 『完全犯罪 (La Crime parfait)』(, 邦訳 塚原史訳, 紀伊國屋書店, 1998年)
1997.6  COMA DESIGN STUDIOのHPがYAHOOのカテゴリー検索で紹介される.もはや情報化社会の普及は止まらない.大学の入学案内のHPがあっても,研究室のHPがない.実に情けない.教育者のリテラシー向上が望まれる.<return>
1999 形の文化誌[6] 花と華 論文 「造形ノート」  造形譜への私的アプローチ 1979-1998 までの作品を基に造形譜のもつ可能性を記した.汎用プログラムの普及とOSの複雑化がプログラミングへのアプローチを困難にしている.このままでは,アルゴリズミック・アートを,造形の基礎教育として導入することは困難だ.
  音楽のような普及を目指すには,まだまだ情報技術の発展が不足なのであろうか? 造形教育が,使用する道具で縦割りにされてしまうのは残念である.
2001デイヴィッド・J・チャーマーズ
情報の二相説(double-aspect theory of information)
?<知覚・認識・行動>の底流にデジタルな流れや判別が複層化しているであろうが,その上層には物質層も現象層が存在する.現代の通信網もそのような階層をともなっていくだろう.しかし,ビット先にありきとは言い難いのだ.
2004 arsnote.com を開設.  

2004 「アルゴリズム構成の機能と形」 形の科学会誌 第19巻 第1号 2005

 記数法を周期で捉えるのは楽しい.反応拡散のパターンとも近いが,対応変換によるその多様性は自由な解釈を生む.秩序とカオスと一口に言うが,美意識とはそう単純ではない.順序数と乱数の間には,関数や方陣のように複雑な対称性をもつ数字群がある.人間の眼差しはそれを次第に見分けるようになる.

2006.3 「複合的対称性に関する 構成モデュールと配列表現」 形の科学会誌 第20巻 第3号 2005

http://ci.nii.ac.jp/naid/10018077963 

完全方陣のもつ対称性は,記数法という規則性の周期を合わせることで見えてくる.ちょっとひねくれた視点でもあるが,新たなパターン認識の分析法や魔方陣の活用法となるはずだ.
2007.6 「美の科学遊び : マジックタイル」Magic Tiles : Let's play tag with Art & Science これで,縦列と横列でリズムとプロポーションの視覚認識における一応の分離ができたことになる.一応の…と断るのは,プロポーションもまたリズムを強調することがあるからだ.リズムと拍子は全くべつものであるが,拍子が容易にリズムへと変容するようなことと似ている.人間のパタン認識は極めて寛容で,大らか,遊び好きであるから仕方ない.
2007.11 「芸術-技術-デザイン-科学」 : スペースデザインのための, 統合的更新プロセス Art-Technology-Design-Science : The consolidated update process for the Space Design 形の科学会誌 第22巻 第2号 2007  
2009.11 日本十進分類法の情報学関連の再改定の検討.

 NDC新訂10版作成の基本方針と改定作業の進捗についての報告基本方針に関しては,9版作成の基本方針(9版解説2.9参照)を踏襲し,NDCの根幹にかかわる体系の変更はしないが,「007 情報科学」を「007 情報学」と改称したうえ「008 情報処理」を新設,007′/008に再 配分するA案と,「547 通信工学.情報工学」 「548 情報工学」の空き番号を活用して547/548 に再配分するB案の二つの案が提示されている。 http://current.ndl.go.jp/e1005 

007が情報学となることは素晴らしい.あとは,757 からデザイン を救い出しデザイン学とすることである.どうやって…どこに? 00?:笑

2010 アントニオ・R・ダマシオ『デカルトの誤り』田中三彦訳 ちくま学芸文庫

2011.7 図書館にてちょっと閲覧 この手の研究を覗くとつい思い出す…「鶏が先か,卵が先か?えっ…Hが先でしょう?」 うーん,積ん読しかないかな….現代人はどう転んでも忙しいのだ.(言い過ぎです…)

2010.6 「モデュール表を使った造形譜のための構成システム」 Composer system for the Formative score Using Module Table形の科学会誌 第25巻 第1号 2010

http://ci.nii.ac.jp/nrid/9000001259316

 美術系の学生にも先生方にもアルゴリズム造形のプログラミングを授業で期待するのは,困難になったようだ.表計算ソフトから3次元のArsnote Composerを稼働させるソフトをプロのプログラマーにご協力をいただき作成した.このツールで学際的理解が相互に深まることを期待したい.3Dのソフトウェアーはすでにオープンでフリーとなってきた.教育環境に不平等なコストの問題は消えつつある.かつてのデザイン用具や機器一式よりもコンピュータシステムの方が安価な場合もあり,消耗品費もランニングコストも電気代である.
2011 東日本大震災とFUKUSHIMA原発事故.世界経済の曲がり角.

自爆テロより怖い原発自爆.マスコミ関係者の信頼失墜.
現場管理者は退避せず,悲惨な状況下での事故拡大防止中.感謝!
科学者,技術者の倫理観が再び問われる.
今回の危機管理で行政は管理放棄同様.情報隠蔽でシビリアンコントロールを妨害.大量の被爆者を行政指導により発生させた.
現時点での日本の選挙制度では,原発の立法的シビリアンコントロールは不可能.
だが,世界不況が産業の構造改革に追い風となるかもしれない.
とはいえ,何処の国家も財政危機.
国家に頼れば増税が答え.
芸術・造形デザインは,更なる自立を!

2012.10 「かたち創造の百科事典」丸善

美的形式の客観的アプローチとして,かたち創造の実践 4章.パターン /デザインのためのリズム/デザインのためのシンメトリー/デザインのためのプロポーション/デザインのための魔方陣 を石垣健が執筆担当した.配列概念から美的形式の客観化をしている.順序の感じられる正規化された配列パターンと完全方陣の配列パターンは,構成的に対極にある.

   
     
c

 


  Page Top

  BACK

arsnote.com メールマガジン.登録はこちらから.