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● Paper Relief "春相記譜" 1996




Paper Relief "春相記譜"  Paper Relief  パルプ,砥の粉  1996  Do well POWWOW 個展

Formative Score : COMPO221


Paper Relief "春相記譜"  Paper Relief   1996  Do well POWWOW 個展




Paper Relief "春相記譜"  Paper Relief   1996  Do well POWWOW 個展


造形譜PAR96042

造形譜:PAR96042


造形譜PAR9604C

造形譜:PAR9604C



アルスノート
 放物線,このポピュラーな二次方程式から得られるありふれた曲線も,離散的集合となれば,なかなかの表現力をもっている.リズミカルな動きにユニティーを見いだせるパターン認識力は,裏を返せばこの類似的変化の中に異常を探し出す能力でもある.リズムとは,移行的変位,つまり繰り返す安定の中での変化だ.ワルツやロックのリズムでさえ,実は反復的な安定感を裏切ることは希だ.もちろん,芸術性とはその先に生まれ出る表現であるから,ベースとなるリズムに表現が埋没することはない.自然のもつ摂理とリズムは,人間の美意識の基盤である.

 放物線は,シャワーノズルを上に向けたりすれば,さまざまなバリエーションを見ることができるので,方程式で表さなくとも手書きのスケッチでおおよそ描ける.物を投げた軌跡といっても,ここでは静止した縄跳びの縄(懸垂曲線)の近似値のようにして使っている.当時のパソコンは手書きの曲線を何種類も入力するのは面倒だったし,関数を使えば理工系の人との接点は取り易いが数学嫌いの芸術系とは距離ができてしまう.CGの視点こそ文系と理系をつなぐことのできる視座であるはずだだが,現実の作業はインターフェイスの問題などもあり困難が続いていた.(データ量を減らすためのBスプラインやベジェといった曲線のパラメトリック化がマウス入力で可能となり,さらに,ノンパラメトリックデータ化も進み,やっと手書き入力やスキャンデータとの溝が無くなりつつある.)ここまでくれば,形典・形譜といったシンタックスな視点と線形代数的(アルゴリズミック)な論理性を混同することもなく,実に自由な造形発想が可能になるはずである.自然な生き方には文系も理系もない.科学とは科に分けて考えることだが,受験戦争の後遺症で,生涯思考法が偏ったままで終わるのは,何とも不憫なことである.楽しくものづくりをすることで,統合的な視点が育まれれば素晴らしい.




春相記譜
Space Design "萌芽更新”

Arsnote
Performance Data : Par960403dxf109g
Formical Score : COMPO221

これは,「春相記譜」からの編形(編曲)である.
少々乱暴な仕上がりのレンダリングだが,
これを再構成した造形譜と考えれば,
実制作者の解釈によって,
もっと繊細な作品が生まれ出るだろう.



algoritnmic spase

"春相記譜"  MAQUETTE  1996  Arsnote / COMPO221

NCルーターによる石膏のマケット.
機械的解釈でもここまでできるのだ.


algorithmic space

造形譜のプロセス

額装の下方から,

デューラーのエッチング『メランコリア』(部分).
錬金術的な視点も含まれ,いろいろな解釈がなされている作品.
自然によるかたちの形成の多様さが,悩ましく思えてくる構成である.
『人体均衡論』などでは,プロポーションとリズムの関係を描いているようにも思える.
方陣をなぜ描きこんだのか不思議だ.
現代に生まれていれば,彼はどんな憂鬱を描き上げるのだろう?
背後の方陣は不完全ゆえに暗示的であり,
芸術への希求は途絶えそうにない.

formative score

Formative Score : COMPO221 1996
Copyright ©1996, Ken ISHIGAKI, COMA CRAFT Inc.

複合的対称性をもつ配列は,空間的なポリリズムを形成できる.
はたしてデューラーは魔方陣の魅力をどう解釈していたのだろうか?
多面体, 幾何学, 錬金術, 時間, 空間,
21世紀から見れば,疑問は果てしなく,およそ解決の難しい時代であった.
今も変わりないとも思えるが,
細分化した知識は増々視野を狭め,技術は累積し,問題は多様化している.
誰もが,その膨大な情報の取得を躊躇してしまうのだ.
もはや,憂鬱の重心は分析よりも統合の方法に移っている.
上記の各々の図は,使用した造形譜の要素に働いている要因を
分析的に選択し,要素を直線にして表したもの.
これらを美的に統合するのが
リズムシンメトリープロポーションなどの配列モデュールである.
もちろん,心的モデュールといわれるものは,
要素の解釈によるフォルムやその表象が加わり,もっともっと複雑な対象であろう.

一般的に多くの混乱と矛盾は,情報の不足や情報の統合手法の稚拙さの表れだ.
21世紀には,クールな認識プロセスの科学と
その明解なデザイン(考案)による模索が必要なのである.
2012.8.10 isi




Gallery COMA : Ken ISHIGAKI : 石垣 健

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