■アルスノートとは 芸術と科学を巡る 造形プロセスの記述です. |
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等身大な一人の人間として,芸術と科学への新たな取り組みを模索する記述です. |
多様化し,分科を極め,先鋭化したスキルを求められる日々の仕事. |
アルスノートは,形の見え方、作られ方を考えながら、造形表現として“形典・形譜”の定立を模索します.
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アルスノートは,芸術と科学の横断的な逍遙を歓迎します.それは,芸術性に科学性を内包させ,その構造から遊離・浮遊する創作的精神の記録でもあります.そして,これらの記述は,図らずも造形表現として“形典・形譜”の定立を模索することにもなりました. 情報科学及び情報通信技術(ICT)は,その伝達表現の必要性から,この四半世紀を通して,かたちの記述のための書式(data file fomat)を確立し,世界的普及を遂げました.これらは,3Dの形譜として活用可能な十分すぎるほどの書式なのですが,「形典・形譜」の存在と位置付けに向き合う研究は,未だ未だ不足です. |
人間は,誰でも情報処理の天才です. それ故に,何の意識もせずに高度な情報処理をしてしまいます.その事に誰もが客観的に気付くようになったきっかけは,情報科学や脳神経科学の発展です. そして,その研究を客観的に支え,実証的に展開させているのがコンピュータとICT(情報通信技術)というわけです. |
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人は,言葉を記録し,文典(文法と語法)に気付き,法典を定め,楽譜や楽典を生み出し,情報科学的視点を獲得してきました.
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誰もがああたりまえのように情報発信をします.言語表現のルールには,文典(文法と語法(grammar books)),そして文章と会話があります.音楽表現のルールには楽典(musical grammar)と それに基づいて記述された楽譜と奏法があります.ではなぜ,造形表現には「形典」とそれに基づく「形譜」がないのでしょう?勿論、機械や建築の制作には、設計図があり、グラフィックデザインには、版下と称するものがありますが、「造形譜」という造形全般にわたる呼称はありません.3Dデザインの時代に、「形典」や「形譜」の定立が無いのも不思議です.これでは、造形ソフトを学問的に大系化して位置づけできません. ご存知のように音楽には,作曲者,編曲者,指揮者,演奏者など,表現のプロセスを区分できる概念があります.造形美術の分野でも,コンポーザーとパーフォーマーを区分できる建築などの設計図が存在し,形譜の役割を果たしているわけです.集合住宅ならば、同じ間取りでも、内装の仕様を選べたり,更に独自のアレンジが施されることもあるわけですが,その秀逸さが評価されていても,音楽のように譜面(設計図)を複製して広く販売されることは希です.しかし,形譜がリリースされれば,地域創生も相まって意外な展開が生まれそうです. 自然形態と同様に,形式や様式の定まった伝統的な造形は,歴史・風土の中でデザイン的特徴が継承されます.そこに形譜としての普遍性を求めるのは無理がありますが、伝統様式とは、地域風土に定着し、著作権が無償化された形譜様式とも言えます. |
アルスノートから形典へ… |
アルスノートは,造形作品の制作過程とその構成結果を簡潔に明示し,制作参加者が相互理解を深めるための芸術・科学・技術にわたるプロセスの総合的記述です.芸術を科学にするのではなく,革新的技術をあたかも芸術的秘技と見せかけるわけでもありません. 音楽が楽譜によって作曲と演奏をとりあえず分けて大まかに把握することができるように,「形譜」は、創作の結果としての造形構成(コンポジション)と実制作(パフォーマンス)を無理なく分けて把握することができる情報を提供します.アルスノートは,その新しい記譜法を定立させていく実証的な資料となるでしょう. 音楽と異なり絵画的な構成は,下絵だけで無く、作家の試行錯誤の過程が重ねて描かれ,X線などで発見されることがあります.音楽の場合は,肉筆の譜面から,その推敲が明らかになるようですし、リハーサルに立ち合えれば、さらに詳細な工夫を知ることができます.
しかし,未知の可能性とは常に未踏の領域に広がっているものです.
アルスノートにおける科学的視点は,形典,形譜(造形譜)の論理的基盤を形成し,新しい造形プロセスの創出を伴いながら,コラボレーションのための共通の記譜法やツールを生み出して行くはずです.これらの領域は,造形だけに限っても,雑貨から彫刻,建築,都市に至るまで実に広大な未踏の領域です.もちろん,音楽で陥った著作権の悩ましい問題が,造形美術でも繰り返されるという心配はあります.同じ轍を踏まぬよう進めなければなりません.回帰をも含みながらの前進は,持続するでしょう.なぜなら,良かれ悪しかれ情報技術が文化財の保存へと浸透し、AIが造形形式を統合的に分類し、再構成しつつあるからです.実に悩ましい問題ですが、手業をもつ人間としては、未だ未だ恐れる必要はなさそうです.
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21世紀は,造形がカラオケのように手軽になり、レンタル工房で、3Dソフトや3Dプリンターを活用した生活空間作りが盛んになるかもしれません.r | 21世紀では,前世紀に幸いにもコンピュータグラフィックの世界で共通のフォーマットとなったワイヤーメッシュやポリゴンメッシュのデータを,造形譜として活用できます.三次元CGのソフトは高価なものでしたが,今では使いこなせないほど優れたフリーソフト(Blender等)も,無償で入手可能となり,誰もが,意欲さえあれば、手軽に立体データをビジュアルに加工でき、送受信できる環境と成っています.3次の元測定のできる機器も普及しつつあるので,昔ながらの彫塑モデルからも,手際よく3Dデータを写し取れるようになるでしょう.また,これらの3Dデータをどのような精度で形譜として位置づけ、それをどのように解釈するかを,3D-CGソフトや3Dプリントで制作を補佐し、原寸で検討することもできます.やがては、学校教育の中で、音楽と同様に、造形教育として「形典・形譜」を学び、誰もが造形制作を「カラオケ」のように楽しめるレンタル工房に、通う様になるかもしれません. |
以上のように,アルスノートは,芸術と科学を巡る造形プロセスの記述なのです. 詳細はこちらの「形典」をご覧ください. |
造形プロセスの形典と形譜による記述は,客観的に構成の要素や要因をモデュール化してパターン認識していきます.ちょっと専門的になりますが詳細はこちらの「形典」や「形典の基礎概念」をご一読ください.これらは,造形のハーモニーやユニティーを探求する新しい糸口となるでしょう.音楽で言えば作曲法の基礎の基礎(例えば平均律の仕組みや、和音やリズムの把握)といっった所です. 08/02/25, 10/07/11,,11/09/16, 12/2/8, 13/1/7,15/06/08,17/10/21,18/10/03, 24/10/14 isi |
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