更新:08/09/30 >09/12/18>
20/09/13
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研究のまえに: ■研究の近況は,ブログでお知らせしています. <過去ログはこちら> |
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■ 1.前文 |
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見方が変われば,見え方が変わります.生き方を変えれば,世界も変わります.
「統合」とは,知識の寄せ集めでなく,様々に科学するこころの働きを自ら意識し,一人の心により合わせることです. |
21世紀,私たちはは膨大な文化遺産の只中で,新たな心のよりどころを探し続けています.生きる手段となった複製的生産が引き起こす物と情報の過剰な日々.どのようにすれば,無計画な浪費や争いによる破壊から,身の置き所を定めることができのるでしょうか? 人間として生まれながらにもっている広い視野を失っては,先端的研究の広がりを認識できず,他のジャンルとの横断的ひらめきも生まれません.エネルギー政策のつまずきが国土破壊の現実を露呈し,「安心・安全神話」は消え去りました.行政による情報の開示と,自由な報道による分別ある国民の判断,独立国家としての決断と行動が必要です.しかし,それでも数百年,数千年を越える治世も及ばぬ安全計画を語る統治者は異常です.
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■ 2.研究の概要と理念 |
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形典・形譜(造形譜)の定立と探求 |
造形プロセスの研究は,風にたなびく新緑の小枝のような緻密さと曖昧さ,秩序と乱れをしなやかに束ねた対象を観察するようなことです.根を支える立脚点として『形典』を定立させることは,造形構成の基盤と解釈を支えます.客観的視点は,情感や風土とは一見無関係ですから,無味乾燥と見られがちです.しかし,『形典』さえ整えば,しっかりとその枝葉の動きを支え,『造形譜』による表現のしなやかさをもって,自然な成り行きや意識的な創意工夫,感情の揺らぎや突然のひらめきをも包摂していけるのです.根もとから享受者と共に表象の花や実のなる枝先まで,その連なりを柔らかく位置付ける手立てとして,『形典と形譜』の定立と更なる探求を進めていきます. PageTop |
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この Arsnote (アルスノート)という造語は,芸術と科学を巡る造形プロセス(造形過程)の簡潔な記述を意味しています.
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ars とは,art の語源であるラテン語で,ギリシャ語の techné と同義と言われます.一般に技術,方法を意味し,純粋思弁的な知識や無意識の自然に対するものとして用いられ,自然と対立する人間の文化活動すべてをさしていたようです.*1 |
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自他共に表現のプロセス(過程)を意識し,記録し,提示することは,存在・認識・行動のデザイン(計画),つまりは,自ら生きることへの心からの挑戦です. このプロセスの把握こそ,「矛盾」という言葉が正しい意味を持つように,表象を俯瞰する記号的なチャートです. |
科学の発展につれて,次第に芸術は科学と対局に位置することのように思われていきますが,当時のこのような自然と相対する人間活動の表現は,現代の冷めた目で見れば,存在・認識・行動の一体的な感覚による表象であり,極めて無垢な人間的理想像として,命のアウラに満たされていたとことと言えます. |
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あえて言えば,自然現象のプロセスを記述するべく,感情を交えず論理的観察と探求を重ねてきているのが,自然科学というサイエンスノートです.科学は苦手だが芸術は得意だ…,などと自己を分断して考えることをせず,子供の視点,つまり全人的視点で対象を観察し,他者の意見も受け入れながら探求することが本来の眼差しであり,アルスノートの出発点です. |
一方,科学・技術的発展は,自然の普遍性を起点にして,自己意識の偏在を是とする傾向を強め,先鋭的探求のため,一人の人間としての生き方をも抑制し,グローバリズムと共に行動を加速されています. いまや物質と精神の溝は,生物科学,情報科学,脳科学,認知科学の登場で埋まりつつあるかに見え,普遍性を担保しない価値が,爆発的に複製されて,人心を惑わすようにもなりました. とはいえ,歴史的に累積性のある学問や技術とオギャーと生まれ出た無垢な心との乖離は,青春を曇らせる原因とはなり得ません.事実を隠し隔てることこそ,人々の意識を混濁させる原因です. |
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一人の人間として世界を見つめ,心のより所を作り上げていくプロセスの記述が,アルスノートです.つまり芸術とは,享受する(作品を鑑賞してその表現を受け止める)と共に,自らも表現に参加することで,自他共に よりどころを構築していくという,心の内の現象なのです.言うまでもなく,可能性とは,生きている限り,自らの未踏の地にあるのですが,その疎外を打ち破るべく,造形プロセスの開示をとおして,わずかながらも実りのある対話を生み出したいものです. |
さて note とは,ここでは ars のプロセスと結果を記録するものであり,言葉だけでなく音楽でいう楽譜のような形譜や造形物の仕様,そして今ではパソコンによるプログラムや使用データのような実働する制作プロセスまでもが,その範疇に入ります. このプロセスという「もの」と「こと」との相乗的変容は,文字記号では書き留めにくい実動する現象です.20世紀後半より突如台頭したコンピュータ・システム.つまり言葉で動く機械とそれを動かすプログラム言語の商品化は,その実動する現象(プロセス)をみごとにに顕在化しました.フローチャート,アルゴリズム(計算手順),そして商品化までされたプログラムは,いつの間にか誰もが知る事物となったのです.この事実を元に,新しい表現法の習熟とその展開を人々の心のより所とするには,それらを社会的基盤として,誰もがパーソナルに利用できるチャンスと行動の場を築かなければならない困難がありました.しかし驚くべきことに近年の技術革新と資金投資は,20世紀末の冨を求めるグローバリズムと相まって,わずか四半世紀でそれを成し遂げてしまったのです.これは,歴史に残る,“世界無血革命”と言って良いでしょう.もちろんその成果は,技術特有の善悪の入り乱れる現状ですが,一人の人間として現代の技術を学び,協働的にこれらのシステムを駆使することで,相互に心のよりどころを構築できることは,すでにWebの普及が示すところです.一人ひとりが表現し,具体的に構築し,相互に披瀝し,理解を深め,学び取ること,そしてグローバルな観点から,相互にローカリズムを再認識し,楽しく交流を深めたり,大いにその独創性を競いながら浪費無き経済の構築が可能となるでしょう.そして何よりも,物流を交えて心の交流を定着させるためのアイディアを提供できるという,この革命的現実こそが,アルスノート研究の大きな支えです. 自然の造形に対する膨大な科学的分析とそのデータベース.それを抽象し統合する概念世界の発展と技術的展開.これらの人為による急激な環境変化に対し,一人の人間としてのこころのよりどころを見出し,支え合い,表現する喜びを共に分かち合うには,目先の利害にとらわれない芸術的協働のための新しいルールづくりと行動が必要なのです. 人間の尊厳とは,どんな生活をしようとも,いつも夢を持ち,なにがしか創造的であることです.ときには伏,ときには背伸びし,見えない背後を振り返りながら,身の丈に相応しいよりどころを見出せれば幸いです.Page Top |
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■ 3.研究の目的 |
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