■形はどうやって生まれてくるのでしょう? | |
かたちはどうやって 生まれて来るのでしょう? たとえば 海や大地 山や波 雲や双葉 広がる木々の葉,川の流れ 氷や琥珀 雪と花,雨に果実 |
|
疑問に思うと何処までもはてな「?」をもって探る科学者. |
|
シロイヌナズナのDNA Book RIKEN photo by Ishigaki |
科学者は,こんな問いかけにひるむことなく,多くの生涯を費やし,今日も答えを探しています.本気で探しているのです.そこには一つの救いがあります.それは,揺るがぬ客観性とそれが保証する累積性です.私達は,今その頂点にいます.累積とは右肩上がりですから…. |
感性と知性のレシピに挑む芸術家. 営みを「花」に変えるデザイナー. そのときの生き様が,街のそこかしこに残ります. DNAが自然の形譜なら,芸術の造形譜はどうあるべきでしょう? ちょっと気が遠くなるような話ですが,情報を解釈するのは同じ人間.教育が変われば,意外に簡単なことなのかもしれません.
|
車の急激な進化は,自然と和し,街の賑わいと共存できるでしょうか?街と郊外との関係をリデザインするには,通勤と物流の見直しが必要です.集積と離散のかたちは,地形とともに美しいリズムを形成できるはずです. |
|
急激な温暖化への対策.技術革新は,目も体も点滅しそうな変化です?留めるべきは留め,進めるべきは左右を良く見て….おーっ,この人は左をちゃんと確認している.(笑)
|
|
形はどのようなパターンと意味合いを伴って,こんな魅力を顕わにするのでしょう? その魅力の秘密を科学する事にあなたは不安ですか? 科学の進歩は,自然の魅力を損なったでしょうか,それとも,一段と味わい深いものにしたのでしょうか? 行動を伴う技術は,どのような状況を生み出しているでしょう? |
|
「ヒトゲノム解読完了 2003.4.14」 RIKEN |
かたちとその意味が生まれるには 多くの生涯を費やした調査と研究によって,私達は,宇宙の誕生から,生命の誕生,そしてその進化の過程を知ることができるようになりつつあります.そこには,形を生み出す実に多様なシステムが見えつつあるのです. |
前世紀末から今世紀初頭は,可視化技術の劇的な進歩とナノテクノロジーの進展によって,身体性は更なる拡張をし,ミクロやナノの世界へと出入りしています.しかし,自然はそれでも操作不能な複雑で多種多様な構造体です.それらのプロセスの観察手法は,環境を制御し,多様な条件の一部を除外し,その内側から生じる現象の差異を一つずつ確かめるといった暗中模索の状態です.それらの検証は,試作というよりも,生んで見るむと言うべきなのでしょうか?自然とは,そんなことを地球規模で同時多発的に何億年も平気で実験し続けている事実そのものなのですから,まさに驚異です.私達もそのなれの果ての生きものというわけです.超人的技術も,やはり両刃の剣.科学と視点が異なる芸術は,表現の自由に守られて,今何を成すべきなのでしょうか? |
|
|
|
|
|
一方私たち人類は,この只中に棲みながらも,その主観性を抑制し,自然のプロセスをよく見つめ,冷静に自然科学的視点に立つ努力を惜しみ無く続けてきました.客観的認識は,感情を抑制し,言葉を選び,共通の認識を世界に広げたのです.それは,自然の複製力が,すでに地球を埋め尽くしている中で起きた,些細な覚醒かも知れません.しかし, 科学は,対立をもたらしながらも古典的宗教に代わって,新しい共通の認識を構築してきました.今後の,情報科学や脳神経科学から発展する,横断的学問の動向は,人間の持つ価値観の本質へと向かい,物理的特性から現象的特性へと視野を広げ,総合的視点をもつ芸術と多くの接点を見いだしていくのではないでしょうか?そのためにも,己の認識を統合すべく,人間としての芸術的衝動を躊躇させずに表現し,改めてそれを解釈することが大切なのです。 | |
【infrastructure】 生産や生活の基盤を形成する構造物。 |
古今を問わず,身体を含めた人間のかたちへの洞察による感性的表現は,見る側の感性と共振しながら,人を感動へと誘います.それは,解明する由もない事実としての「恍惚と言う現象(実証的帰結)」とも言えるのです. 現代の新たな身体性とは,これらの知識と経験,技術と技能をもとに拡張された身体であり,拡張した身体と相互に対話しながら協働の創作を成す事にあるのではないでしょうか.アルスノートとは,芸術における,その身体性の拡張と,その対話のための簡潔な記述です.音楽が,工学的認識によって,はやくから可視化された記号体系を柔軟に確立させたにもかかわらず,視覚芸術は,見えるが故に,概念的体系による抽象化をおざなりにしています. もはや芸術は,希少価値としての勝者の心の乗り物に留まらず,普及した乗り物と津々浦々まで巡れる路線のように,誰もが互に支え合う『心のインフラ』をめざしつつあります.多様な地域性のなかで,その複製力を拡張し,その表現法を定着しつつあるのです.この生物としての奇跡の果実を,しっかりと見つめ,解釈し,吟味すべきときなのでしよう.覇権を求めるすべも無き,広大無辺な自由の大陸.ここは,かけがえなき心のリサイクルの場なのかも知れません.それゆえに,この茫漠たる表現世界のささやかな道しるべとして,共通性と独自性を相互に認識できる知の確立が望まれるのです. 2006.10,2006.4,2005.5,2010.1.15 2011.09.17 更新 石垣 健 |
Photo by Ishigaki | |
Copyright 2005, Ken ISHIGAKI http://www.arsnote.com |