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Exhibition Group C.O.N.V.I.D. + Japanese Artists の巡回展に,立体の小品を出展しました. 
  会期:2024年 7月4日(木)~7日(日) 10:00~18;00.  小田原城三の丸ホール 1階展示室  無料
   神奈川県小田原市本町1丁目 7-50 小田原三の丸ホール Phone 0465-20-4152

以下は、パンフレットのコピーです.↓









CONVID




小田原市 三の丸ホール 1階 展覧会場 7月3日に展示作業を終え、オープン前日の会場です.
夜に備えてブラインドを明けると、磨かれた床に一瞬夕陽が反射してしまい、驚きました.明日は晴れそうです.

空輸や国内の異動を考慮し、皆さんで大きさをそろえた小品の展示となっています.
このスペースで、イタリアの作家を中心に23名もの作品を同時に比較・鑑賞・議論できるのは、有り難いことです.



2024年7月4日 Exhibition Group C.O.N.V.I.D. + Japanese Artists、がオープンしました.↓




下記は、会場に掲示されたメッセージです.コロナ渦の最中に生まれた、芸術と科学に関わる

以下の掲示は自動翻訳とのこと.

C.O.N.V.I.D.














以下、順路順に、出品作品のスナップです.


Roberto Sgarbossa




Enzo Tardia




特別招待作家 Franco Frangi Reale




Luisa Russo




Milena Rigolli




Renato De Santi




Carlo Didonè




Guglielmo Costanzo




Federica Fontolan




Jun Sato




Yumiko Kimura




Piera Legnaghi




Nadia Costantini




Claudio Sivini




Carmen Carriero




Ivano Fabbri




Nobuo Yoshikawa




Takekami Moku




Atsushi Kobayashi




Ryota Hagihara



Keiichi Miyazaki




Akira Nishimura



Atsushi Kobayashi




Ken Ishigaki


↑以上、Exhibition Group C.O.N.V.I.D. + Japanese Artists、の会場スナップでした、

 

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私(石垣)の出展作品(手前の台の白い作品)は、 普段はあまりお見せすることのない
造形譜「COEXISTENCE」からのデジタル・マケットです.
ガラスの器に吊りこんだマケットは、FDM方式の3D-Printですので、
ディテールの表現にかなり無理がありますが、
目の高さで空間構成を見るには、良い手法です.

海外への出展は、大きい作品となると、梱包や税関の手続きもあり大変です.
「デジタル・マケット」 これなら手荷物扱いで、どこへでも持っていけそうですし、
「ハエ男」とまではいきませんが、もはや電送も製造業では日常です.
映像でなく、立体物を両眼で見、手で触り、立ち位置を変えながら彫刻独自の空間性や量感の配置を把握できることは、
彫刻鑑賞として必須の知覚体験です.
手で触れない作品があったとしても、両眼で見ることでその曲面の感触が甦えれば、視覚以上の情報が得られます.
勿論、原寸で触われれば、面からそれなりの命を感じ取れることもあります.

ソーシャルネットワーキングサービスの普及で、展覧会場内の撮影も、かなり許容されました.
3Dプリントが普及すれば、摩耗を恐れずに、触れる複製サンプルも展示できそうです.
今回は、触れない作品との見分けが難しいので、そのような表示はしていませんが、
ビンに封入したデジタルマケットの周囲の原寸モデルは、
希望された方には、手に取って観ていただくつもりです.



「プログラムで作った面を撫でて何が面白い?」と、仰る方もいますが、
「DNAで作った肩筋に惚れ込んでしまうくせに?」と言い返す方もいるわけです.

写真が身近になったように、彫刻という表現が身近となるには、3Dプリンターの普及が待たれます.
「人生は短い」 と思うほど、自然の造形は、なんとも奥深く、 有り難いものです.




この作品シリーズの実寸作品は、今年の春、この展覧会場で展示いたしました.
元々の着想は、沖縄で、水中から立ち上っていく自分の吐息を、水底からしばし眺め、
潜っては繰り返すうちに、「この泡達の舞いを作品て作れたら…」と思ったのが、プログラム化したきっかけです.
生れ出たのは、「ビーナス」ではなく、「流体力学的相互連行の記譜」
Note of hydrodynamic mutual entrainment
これは物理的視点のみの表現なので.その後の調整で誘引された感情を含めて、
この作品名を ” COEXISTENCE 2 ” としました.


造形譜からのデジタル・マケットが手軽に複製できれば、彫刻的な空間構成の伝達が可能になりますし、
実制作者(performer) の、造形譜による実物大の制作(performance)も、位置関係が特定されて容易になります .
そして、造形は音と異なり消えませんので、誰もが、のんびりと、着実に作っていけるのです.

実物大ではリズミカルな空間も、
なぜか、この標本瓶のような空間に閉じ込めて見下ろすと、
一気に先入観が脳裏を支配し、臓器をも連想してしまいます.
己のパターン認識の曖昧さに呆れながらも、流体力学的相互連行のシミュレーションの不思議な造形性は、気がかりです.
ランボーはさて置き、「海の泡から生れたヴィーナス」と言った人は、
もしかすると昔の海の底で、立ち昇っていく泡達を、気を失うほど念入りに観察していたのかもしれません.


COEXISTENCE1911

造形譜 『 COEXISTENCE 2 』





さて、この不出来なFDMによる3Dプリントを補修するのは、老眼には苦痛です.
蜜ろうで作るのも楽しそうですが、この構成ではちょっと厄介.
もう少し大きいと、楽に補修できるのですが、指の入る隙間も無く、
指先で面を読むこともできないのですから、ナイフやルーターの刃面の動きで、流れを読みながらの調整となります.
心体は慣れ親しむと、無意識にいろいろなことが出来てしまうのものです.

生物標本を連想してしまうのは、補強の為に幹と枝を原寸の作品より太くしている為でしょう.
もちろん、常にリズムやプロパーションに使用している、
複合的シンメトリーによる部分的非対称も、
内臓を連想させる一因です.

流体力学的相互連行による歪みの様子を観る為に作成した再帰的プログラムは、
フォルム生成の秘密を垣間見せてくれたようです.



COEXISTENCE 2

造形譜 『COEXISTENCE 2 』 からのレンダリング.↑




以上、長くなりましたが、作品に関する議論の為の情報となれば幸いです.

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短い会期でしたが、展示された多くの作家の作品と共に、
ご来場いただいた方々とゆっくりお話しすることができ、
有意義で、なんとも贅沢な時間を過ごすことができました.

小田原三の丸ホール 会館前の御堀端

海を越えて開催にご尽力された方々と、
美しい御堀端に、この様な素敵な空間を維持されている市民の皆様に、
参加した一作家として、深く感謝いたします.

ありがとうございました.

Ken Ishigaki

 

 

 

COEXISTENCE 2

 



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