アルスノート

　イメージと構成

　　建築的なスケールを求めてアーチ型の構造を試みる．力学的にはかなり無駄がありそうだが，とりあえず見た目の冒険が目的であるから構わない．全体のリズムとバランスがとれていれば，構造的な利点もあるはずだ．今見ても結構斬新と思えるのは，やはり設計現場では経済性がネックとなっているからだろう．

　このトラスの中を屈折率の高い材質で埋めてみると，光の効果が面白い．レンダリングで見ると，当時のソフトでも結構面白い．造形譜が残っているので，いつの時代でも再検討ができる．先の時代なら構造計算もインジェクションのシミュレーションも正確になっているはずだ．編形とパフォーマンスを大いに期待できる．切削も2.5次元でなく3次元6軸加工などが可能だろう．もちろん地球上の構造物では無理だろう．水中に空気層とか，月面とか…．

制作ノート
　このように光学的に複雑な造形は，正確なレンダリングによってのみ，的確な設計が可能となる．とはいえ，何よりも簡便なレンダリングソフトがない限り，発見も，思いつきも力つきてしまう．これはまだまだほんの入り口に過ぎない．アートになるのはずーっと先だ．道具の威を借りていては，芸術的統合は生まれない．もっともっと彼方へと旅立とう・・・．　1997　isi