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更新:08/09/30 >>09/12/18>> 20/10/21
■形典 / ●造形譜をイメージする

●造形譜をイメージする

 

 長い前置きとなったが,ここからいよいよ形典と形譜について述べることになる.

  「造形譜」をイメージする: 音楽における楽譜のように、美術にも「造形譜」があったとすると、それは造形活動にどのように受け入れられているだろうか。おそらく、学校では美術の授業で記譜法を教えているであろうし、街の画材屋に「造形譜」が並び、誰もが独自の解釈と、手近な技法で再現を楽しんでいることだろう。
 ―― 形の文化会編 『形の文化誌 6』 工作舎刊 (1999.4 )抜粋

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形譜,造形譜,座標符,設計図の違い

 

 形譜と造形譜は同じと考えてよい.どちらも形あるもの視覚的構成を簡潔に表現(記譜)した著作物である.あえて使い分けるとすれば,形譜は自然形態の簡単なスケッチなどを含み,すでに存在する周知の対象の外形を簡潔に記譜したものをさす.一方,造形譜は創作者が特定できる造形物の記譜を意味する.

設計図は,これに類似するが,造形譜の範疇には入り難い.なぜなら,詳細な寸法や材質,仕上げなどの指定があると実制作の作り手に解釈の余地を与えないからである.

設計図は一般的に三面図(正面図,上面図,側面図,断面図,透視図など)を用いて立体を表現しているが,エッジのない3次曲面の形状(例えば下図のようなかたち)を表すのは困難だ.かえってその曖昧さが形譜としては良いのだが、形譜では,視点を自在に変えても曲面の状態がある程度把握できる網目のような表現法(ワイヤーフレームやポリゴン表示)も使いたい.形譜ではこれ等の座標情報をもつものを座標符と呼んでいる.

ワイヤーフレーム

図★ ワイヤフレームデータによる座標符(上).これをポリゴン面として反射光を加えることで,面の様子を解りやすくしたレンダリング画像(下).
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形譜,実制作,編形

 「やわらかい図学」

 

 このように、形譜とは,音楽における楽譜のように造形(ものづくり)に関する大よその形と構成を記述した「やわらかい図学」で、寸法や位置の関係を簡便に表し,要素や要因の構成を提示したものとなる.

楽譜は,それを弾き手の解釈で演奏することができる.同様に,形譜は,実制作者(製作家)の解釈でそれを実制作(製作,パフォーマンス)することができる.

したがって,形譜としての表現は,実制作において実制作者(製作家,パフォーマー)の解釈を求めるために,ほどよく簡潔にその造形構成を記述する必要がある.

形譜の表す面は,粘土のような可塑性のある表面と考えればよい.指先で押せば凹み,少々付け足すこともできるおおまかな形を表す.したがって,素材,質感,着彩での調整も可能となる「やわらかい図学」といえる.

楽譜では楽器の指定ができる.造形譜でも素材や技法が指定できる.素材や技法を変えるためには,楽曲の編曲のように原作の造形を“編形”(アレンジ)する必要が生じる.大きさを変えれば視点も変わり,素材や技法や工法の変更が必要となる.これらの調整をする人の名を原作の創作家(造形作家)に対して,編形家と呼ぶことにする.  Page Top

   
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