研究紹介
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概要 ■基礎概念 ■アルゴリズム造形について ■著作,論文,エッセイなど研究近況
  研究近況 101112131415
10/03/29     

意見交換のため,造形譜(Formative Score)に関する資料を一部公開させていただきます.
 以下の作品データは,Arsnote Lab.の研究員によるプログラムテストを兼ねた習作です.

 コンテンツ制作には,次第に3D化が求められる.造形作家だけでなく,誰もが造形表現を楽しめるよう,また,教育的には基礎造形教育の楽しいツールとなるように,今回は,プログラムとデータの分離を徹底した.表計算ソフト(例えばエクセル)を活用して美的形式による造形構成とその調整を可能にし,一般的3Dフォーマットを出力できるコンピュータプログラムとし,“Formative Composer”と名付けた.作成される造形譜は,誰もが無償のアプリケーション(Hira3Dviewer,Blender等)で可視化でき,加工やレンダリング,実制作を可能としている.従って,これらの作品は,音楽のように著作権をシェアーするかたちとなっていくはずである. 


TEST03BB00G9G.JPG - 889,919BYTES TEST03BB00GB.JPG - 189,498BYTES

Arsnote Arsnote

今回のFormative Score作成のためのプログラミングは,日本電子専門学校の笹田晋司先生にご協力をいただいております.
プログラミングは,昔のように初心者が一週間でできるような時代ではありません.(笑)プログラミング環境の激変は長期にわたる開発をも葬ってしまいます.商業主義だけではなく,人間の向上心自体が初心者を遠ざけてしまう結果を生んでしまいます.むしろそんな状況が造形譜普及への追い風となっているとも言えるのです.

 今回の造形譜は,既存のオープンソースの3Dソフトで視覚化でき,レンダリングのできる方なら実制作(Performance)のためのさまざまなエスキースが作成でき,実制作のための検討へと展開できます.もちろん建築CADなどで設計のためのファンクションとして取り込むことも可能です.実制作(Performannce )と共に著作権は,音楽や映画のようにシェアーできます.従って,先ずは教育用のプログラムの作成が必要です.ご協力いただける研究者の参加を求めています.isi

 研究の経緯はこちらの論文の第2章をお読み下さい.
 造形譜による作品の紹介はこちらです.

 造形譜の位置付けで重要な点は,とりあえず面倒なプログラミングが不要となることです.従って,基礎造形の学習にとっては良い教材となるでしょう.創作性を重視する教育においては,そんな塗り絵のような教育は意味がないと言う方もいるでしょう.しかし,現在の音楽教育において,いきなり作曲せよとか,初めて手にする楽器を自由に弾けとは言いません.まずは音楽を楽しく享受し,メロディーを聞き覚え,見よう見まねで演奏したり,楽典の基本に沿って楽譜や楽器の音楽的機能をすこしずつ学びながら,本格的な演奏や作曲が試みられているのではないでしょうか.もちろん,造形においては,創造主とも言える自然が何よりのお手本ですから,その形態をデッサンし,自分の独創的造形譜を模索することが不可欠です.それ故に造形譜の概念的位置づけが大切なのですが,その位置づけが曖昧なまま模写の上手・下手を競ったり,いきなり変奏曲やアドリブを奏でることを良しとしてしまうという混乱があるのです.そうはいっても,その混乱を解くために人間の形態やその自然によるプロセスを科学的に語るには,あまりにもその現象は複雑です.脊椎動物を作り上げた自然という現象と実体の存在.その自然自体の継承力,そして,その進化という創造性に科学の目を向ければ,目眩すら生じます.それは作曲という現象でも実は同様でありましょう.演奏でも同様です.記譜というシンプルな記号表現があってこそ,他者との柔らかな接点において新たなファンクションの接合を生み,その継承のシステムが機能しているのです.もちろんそれはDNAを取り巻く現象のように大それた情報ではありません.シンプルで子供達でもおよその様子がわかる楽譜のような記述が必要なのです.

 今世紀においては,子供達が分子生物学と情報科学の概要を学びながら,継承される技術的背景の中で,すでに人生を新しい視点から始めていることを大人達は知るべきです.だからこそ,今こそ21世紀としての造形教育を新たに加えなければなりません.造形譜は,簡単な構成から美的形式を着実に学び取ってゆくことが可能です.許されるなら,著名な作品を造形譜として記譜し,配布するのも良いでしょう.科学的視点から自然の造形の基本形を記譜することもできます.手書きであろうが,コンピュータを使おうが自由です.もちろん造形譜が感じ取れるのは,進化の過程で身に付いている自然に対するパターン認識力が私達に天性としてあるからであり,幼い頃からの環境にも影響されています.弱肉強食の中で焼き付けられた動物としての俊敏な環境へのパターン認識力が,芸術に接することで己の心のよりどころを見出す感性としての認識へと変わることは,人生における,人間としての素晴らしい自己変革と言えます.音楽がなぜ人間独自の感性の領域を創出し,誰もが楽しめるほどの普及に成功したか?人間の果敢に挑戦する造形がなぜ自然をなかなか越えられないのか?科学・技術の累積と継承の中から謙虚にその功罪を振り返り,今世紀は,個々が芸術としての統合的視点を見出し,無意味な争いを止め,人間としての尊厳に誰もが気づける時代としたいものです.

 やがて,素敵な造形譜が普及すれば,人工物は心のよりどころとしての美しさを取り戻せるかもしれません. isi

 

■Formative Score

 

Report:100225

test100123.xls からの造形譜(Formative Score)出力テストとレンダリングによるパーフォーマンスです.


プリミティブな3D図形による造形譜に色調と初歩的なライティングによる陰影を付加したものです.

TEST03BB00.JPG - 223,906BYTES
Formative Score//test03.obj_ : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//test03BB00.jpg : Performed by CDS & Hira 3D Viewer & APS
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造形譜は,イメージに沿って色相も彩度もスイスイ調整できます.

TEST03BB00G4.JPG - 639,420BYTES
Formative Score//test03.obj_ : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//test03BB00G4.jpg : Performed by CDS & Hira 3D Viewer & APS



執着のない気持ちが,見立てによって意外な自分を発見することもあります.

TEST03BB00G9G.JPG - 889,919BYTES
Formative Score//test03.obj_ : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//test03BB00G9G.jpg : Performed by CDS & Hira 3D Viewer & APS



TEST03BB00GAG.JPG - 1,342,037BYTES
Formative Score//test03.obj_ : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//test03BB00GaG.jpg : Performed by CDS & Hira 3D Viewer & APS
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造形譜の習作を重ねて,リズム感やプロポーションがマッチすれば,その構成の楽しみは更に広がります.

TEST03BB00GB.JPG - 189,498BYTES
Formative Score//test03.obj_ : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//test03BB00Gb.jpg : Performed by CDS & Hira 3D Viewer & APS
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要素のの数量が増すと,構成方法も多様となり,リズム感を確保するデザイン的調整もかなり複雑です.
プログラミングなど仕事量も膨大で広範囲となり自作自演の難しさがここにあります.


造形譜


しかし,デザイン的構成が確定できれば,造形譜として記録し開示することで,誰もが活用することができるのです.
解りやすい構成でも,色やテクスチャーの差異のみが指定された下図のような造形譜では,さまざまな解釈が可能です.色の差異をテクスチャーに置き換えることもできます.

造形譜
Formative Score//Kk002204.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK002203.jpg : Performed by CDS & Blender & APS



色合いのバリエーションは無限とも言えますが,造形譜では,同色の配置を限定することで,配置のリズム感を規定できます.もちろん色合いを規定することも可能です.

造形譜
Formative Score//Kk002203.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//K1002204p5GM.jpg : Performed by CDS & Blender & APS
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3Dデータの造形譜は,静物画を描くように,視点を変えることで多様な平面的構成も生み出し,写真家が撮影するようにライティングやアングルを定めることで,多様な解釈が可能です.

造形譜
Formative Score//Kk002203.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//K1002204p6GArsM.png : Performed by CDS & Blender & APS.isi

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Report:kk00220,

KK002204.xls からの造形譜(Formative Score)出力テストとレンダリングによるパーフォーマンスです.

Form module に簡単な建築要素を加え,空間をもった構成をしています.isi
空間を対象と同等に把握することで,空間のリズムを生み出します.

建築的空間は,3Dソフトのカメラワークによってアニメーションのように可視化され,把握しやすくなりました.照明を加えることで空間への効果も加味され,レンダリングされます.

Formative Score 造形譜
Formative Score//KK00220b.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220b_3G.png : Performed by CDS & Blender & APS
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3Dの造形譜の解釈は多様であり,平面構成に変換すれば写真や絵画のようにあらたな著作権のシェアーが生じます.映画の場合を参考にすると解りやすいでしょう.
3Dの造形譜を生かすには,建築写真のように照明や環境光が大切です.

造形譜
Formative Score//KK002209.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//K1002204p5GM1.jpg : Performed by CDS & Blender & APS
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Report:kk00220bb,

KK00220bb.xls~KK00220bc23 の造形譜(Formative Score)
  出力テストとレンダリングによるパーフォーマンスです.

Form module にプリミティブな要素を加え,ボリュームとのリズムをもった構成をしています.
造形譜(Formative Score)は,線のデータ(ワイヤーフレームデータ)でも構いません.形のモデュールや比例のモデュール,リズムのモデュール,色のモデュールなどが加わっていて,解釈はより深まり,表現も自在になります.isi

Arsnote
Formative Score//KK00220bc22.blend : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc22front.jpg : Performed by CDS & Blender & APS



技術的には,3Dデータの互換性は高まっており,シンプルな造形譜は読み込みも簡単です.
この造形譜にはOBJ形式の法線データを含めてあり,ライティングがすぐできます.闇から現れる姿は計算といえども不思議な実感があります.光を妨げず,影もない不思議な光線も成立してしまいます.

Arsnote

Formative Score//KK00220bc22.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance/KK00220bc222.jpg : Performed by CDS & Blender & APS
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建築的空間は,3Dソフトのカメラワークによってアニメーションのように可視化され,把握しやすくなりました.陽光や背景にグラデーションを加えることで,イメージに沿ったレンダリングができます.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc22.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc223_1.png : Performed by CDS & Blender & APS
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造形譜はおよその形の”あり方”を表すと捉えるのも良いでしょう.ディテールは実制作者(Performer)の解釈による腕の見せ所です.ですから,これらのレンダリング結果も更なるテクスチャーやディテールを加えることで,細部へと宿るイメージを生むでしょう.音楽同様にちょっと口ずさむことから,完ぺきな演奏会まで,さまざまな表象があるわけです.そのなかで不変なことがあるでしょうか? 形の”あり方”は,空間のリズムやプロポーションとともに大きな影響を与え続けます.その”あり方”の構成がしっかりしているかどうかが,造形譜のスタイルを決め,パーフォーマーが安心して表現に集中できる状態を生み出すのです.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc22.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc225_1.png : Performed by CDS & Blender & APS
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造形譜によるレンダリングは実に楽しい体験です.まだ実在しないものをイメージする自由!


Arsnote
Formative Score//KK00220ba2.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220ba2_4.png : Performed by CDS & Blender & APS
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造形譜は構成を緩やかに規定しているので,ゆとりを持って色彩計画や素材感の調製ができます.


Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc238.png : Performed by CDS & Blender & APS



自由とは不思議なもので,無限より有限の可能性に潜むものです.
束縛から自由が生まれるわけではなく,自由な部分に意識が集中するからなのでしょう.
もちろん,造形譜を選ぶ自由があってのことですが….
 isi

Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc239.png : Performed by CDS & Blender & APS
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もう一度造形の基本に立ち返って考えてみましょう.構成が確定したら造形譜として記録し,更に細やかな実制作が可能となります.
楽譜のように大まかな流れの規定こそが,斬新な解釈や他の解釈との比較を生み,より繊細な感性を育てていくのです.
一朝一夕に名曲が生まれるわけではないように,造形譜も恐らく長い時間の中でオートポイエーシスのように成長と新たな進化を重ねていくのです.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a.png : Performed by CDS & Blender & APS



とは言え,一人の命は,進化など待っていられません.(笑) 造形譜は,その時々の社会を反映して生み出される記述です.
色合いのバリエーションは無限とも言えますが,造形譜では,同色の配置を限定することで,
配色のリズム感を規定することもできます.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a1_.png : Performed by CDS & Blender & APS
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3Dの造形譜を生かすには,建築写真のように照明や環境光が大切です.
造形譜がたとえ幻想として構築されても,そのイメージの片鱗が現実の空間へと伝播するでしょう.

Arsnote
Formative Score//KK002209.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//K1002204p5GM1.jpg : Performed by CDS & Blender & APS
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造形譜への照明は,既存のソフトでも検討ができます.造形譜では,実制作において色やマッピングの指定をすることで,壁面などの微妙な反射を調整できるのです.レンダリング自体が,すでに立派な実制作です,実施設計との連関はあと一歩の努力です.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a6.png : Performed by CDS & Blender & APS
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造形譜には仮の色指定ができます.それは色の「差異の配置」が規定されていると考えてください.
このことは,モデュール表にも表記できます. このシリーズでは,色は16種,長さのモデュールは16種,形のモデュールは1種となっています.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a91.png : Performed by CDS & Blender & APS
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このシリーズには,比例の限定された寸法のモデュール(Form Module)が使われています.それによってどのような効果が生じるのか,経験による徹底した観察が必要です.平均律同様に,実制作において,パーフォーマーは微妙な調製を求めるでしょう.

Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a7.png : Performed by CDS & Blender & APS
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Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a94.png : Performed by CDS & Blender & APS
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Arsnote
Formative Score//KK00220bc23.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KK00220bc23a93.png : Performed by CDS & Blender & APS
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以上,討議の参考資料としてお使い下さい.なおこれを期に長年の懸案となっておりましたオープンハウスによるアルスノートの研究会を近々開催する予定です.お知らせはメールにて連絡させていただきます.

研究近況 101112131415

 

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