■研究近況 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15 | 10/03/29 |
意見交換のため,造形譜(Formative Score)に関する資料を一部公開させていただきます. 今回の造形譜は,既存のオープンソースの3Dソフトで視覚化でき,レンダリングのできる方なら実制作(Performance)のためのさまざまなエスキースが作成でき,実制作のための検討へと展開できます.もちろん建築CADなどで設計のためのファンクションとして取り込むことも可能です.実制作(Performannce )と共に著作権は,音楽や映画のようにシェアーできます.従って,先ずは教育用のプログラムの作成が必要です.ご協力いただける研究者の参加を求めています.isi 研究の経緯はこちらの論文の第2章をお読み下さい. 造形譜の位置付けで重要な点は,とりあえず面倒なプログラミングが不要となることです.従って,基礎造形の学習にとっては良い教材となるでしょう.創作性を重視する教育においては,そんな塗り絵のような教育は意味がないと言う方もいるでしょう.しかし,現在の音楽教育において,いきなり作曲せよとか,初めて手にする楽器を自由に弾けとは言いません.まずは音楽を楽しく享受し,メロディーを聞き覚え,見よう見まねで演奏したり,楽典の基本に沿って楽譜や楽器の音楽的機能をすこしずつ学びながら,本格的な演奏や作曲が試みられているのではないでしょうか.もちろん,造形においては,創造主とも言える自然が何よりのお手本ですから,その形態をデッサンし,自分の独創的造形譜を模索することが不可欠です.それ故に造形譜の概念的位置づけが大切なのですが,その位置づけが曖昧なまま模写の上手・下手を競ったり,いきなり変奏曲やアドリブを奏でることを良しとしてしまうという混乱があるのです.そうはいっても,その混乱を解くために人間の形態やその自然によるプロセスを科学的に語るには,あまりにもその現象は複雑です.脊椎動物を作り上げた自然という現象と実体の存在.その自然自体の継承力,そして,その進化という創造性に科学の目を向ければ,目眩すら生じます.それは作曲という現象でも実は同様でありましょう.演奏でも同様です.記譜というシンプルな記号表現があってこそ,他者との柔らかな接点において新たなファンクションの接合を生み,その継承のシステムが機能しているのです.もちろんそれはDNAを取り巻く現象のように大それた情報ではありません.シンプルで子供達でもおよその様子がわかる楽譜のような記述が必要なのです.
■Formative Score
Report:100225 執着のない気持ちが,見立てによって意外な自分を発見することもあります.
しかし,デザイン的構成が確定できれば,造形譜として記録し開示することで,誰もが活用することができるのです. 3Dデータの造形譜は,静物画を描くように,視点を変えることで多様な平面的構成も生み出し,写真家が撮影するようにライティングやアングルを定めることで,多様な解釈が可能です. Report:kk00220, 3Dの造形譜の解釈は多様であり,平面構成に変換すれば写真や絵画のようにあらたな著作権のシェアーが生じます.映画の場合を参考にすると解りやすいでしょう. |
Report:kk00220bb, 技術的には,3Dデータの互換性は高まっており,シンプルな造形譜は読み込みも簡単です. 建築的空間は,3Dソフトのカメラワークによってアニメーションのように可視化され,把握しやすくなりました.陽光や背景にグラデーションを加えることで,イメージに沿ったレンダリングができます. 造形譜によるレンダリングは実に楽しい体験です.まだ実在しないものをイメージする自由!
自由とは不思議なもので,無限より有限の可能性に潜むものです. もう一度造形の基本に立ち返って考えてみましょう.構成が確定したら造形譜として記録し,更に細やかな実制作が可能となります. とは言え,一人の命は,進化など待っていられません.(笑) 造形譜は,その時々の社会を反映して生み出される記述です. 3Dの造形譜を生かすには,建築写真のように照明や環境光が大切です. 造形譜への照明は,既存のソフトでも検討ができます.造形譜では,実制作において色やマッピングの指定をすることで,壁面などの微妙な反射を調整できるのです.レンダリング自体が,すでに立派な実制作です,実施設計との連関はあと一歩の努力です.
造形譜には仮の色指定ができます.それは色の「差異の配置」が規定されていると考えてください. このシリーズには,比例の限定された寸法のモデュール(Form Module)が使われています.それによってどのような効果が生じるのか,経験による徹底した観察が必要です.平均律同様に,実制作において,パーフォーマーは微妙な調製を求めるでしょう.
以上,討議の参考資料としてお使い下さい.なおこれを期に長年の懸案となっておりましたオープンハウスによるアルスノートの研究会を近々開催する予定です.お知らせはメールにて連絡させていただきます. |
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