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概要 ■基礎概念 ■アルゴリズム造形について 著作,論文,エッセイなど 研究近況 
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10/03/23  

意見交換のため,引き続き造形譜(Formative Score)に関する資料を一部公開させていただきます.
 以下の作品データは,Arsnote Lab.の研究員によるプログラムテストを兼ねた習作です.
Formative Score作成のためのプログラミングは,日本電子専門学校の笹田晋司先生にご協力をいただいております.

ARSNOTE arsnote

現在,プログラミングは多重ループと再帰の混在するやっかいな領域にさしかかっています.とても手を使っていては検討できない複雑構成が可能です.しかし,量より質.そして,何と言っても私達の視覚認識が追いついていかないことには,表現も意味を為さないのです.多くの研究者やアーティストを支えてきたプロのプログラマーの考え出す人工言語(コンピュータ言語)による概念の再構成は,アーティストから見れば実に軽やかで,まさに真水の湧き出でる創発の泉です. 「水清くして魚住まず」 こんな孤高の孤独の中から,いつも下流へとプログラムがリリースされていることをデザイナーがもう少し気付くようになれば,その作品の美しさは更に増すことでしょう.「水清くして 魚住まず」 真の学問や芸術を問うとき,まずこの言葉を受け入れなくてはなりません.造形譜はちょうどその泉から生じる流れとの間に位置するかのようです.湧き水は,長い時と厚い大地の浄化があってこそ生じるとてつもなく客観的な現象です.だから困ったことに,観察し,説明するだけで濁ってしまうのです.(笑)

 今回の造形譜も,既存のオープンソースの3Dソフトで簡潔にレンダリングを施し,習作としてパーフォーマンスしています.
レンダリングのできる方で実制作(Performance)に参加・協力してくださる方を募っています.

 研究の経緯はこちらの論文の第2章をお読み下さい.   造形譜による作品の紹介はこちらです.
今後の展開は多様となります.多くの方のご協力が得られるよう,順次造形譜を公開していく予定です.

 造形譜があれば,音楽のようにその場に相応しい構想を選択してパーフォーマンスが可能となります.もちろん造形譜を制作し,公表し,リリースする方が増えなければ選択の余地も狭まります.既存の作品を造形譜に起こしてリリースすることへの理解は,それなりに時間がかかるとことだと思われます.

 面倒なプログラミングが不要とは言え,造形的構成をしっかりと把握しなければ,パーフォーマンスができません.それには音楽の楽典(musical grammer)のごとき,造形のための文法的概念の把握が形成されるはずです.造形の基礎概念を展開させることで,分割(拍子)やリズムやプロポーションが空間の場(Field)のなかで的確に組み立てられていくわけです.誰もが己の視覚的パターン認識力の言い尽くしがたい能力(笑)を再確認できると思います.人間とは凄いものです.そこに身体性が加わって更に果てしないオートポイエーシスが働き,文化的継承の中で絶え間ない変革が重なるのですから….

 今回の習作は,下方のようなシンプルな構成です.基礎造形の学習としては,とても奥深い教材です.  isi

■Formative Score

 

Report:10031220

KG10031220.xls からの造形譜(Formative Score)出力テストとレンダリングによるパーフォーマンスです.



板状の構成要素による造形譜.垂直に立ち,水平方向には90度刻みの回転をだけを加えた構成です.

arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312200.jpg : Performed by CDS & Blender & APS
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これらの造形譜も初期値として色分けがされています.今回は,簡単なライティングを加え,あえて陰影を付るだけとしました.
同色の位置関係を含めて全体の配置のバランス,プロポーション,リズムの関係がどうなっているか?問題点はどこか?しっかりと多面的に観察して下さい.

arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312203Bln.jpg : Performed by CDS & Blender & APS



上面(平面図)から見た画像です.空間を 縦横方向から比例的に4分割しているのが解りますか?

Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312201.jpg : Performed by CDS & Blender & APS



図面が好きな方は下記の画像で見てみましょう.こんどはどうでしょう?解りませんよね.
解ってしまった人は,造形にもプログミングにも向いている天才かも知れません.

arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312201.jpg : Performed by CDS & Blender & APS



これは,うっかりすると構成した私達でも分割を見間違えるような仕組みのあるデザインなのです.

ARSNOTE
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312200-01.png : Performed by CDS & Blender & APS


右方向へと周りを巡りながら,撮影をしていきます.

arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312201.png : Performed by CDS & Blender & APS
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arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312202.png : Performed by CDS & Blender & APS
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このように構成要素が一種でも,数量が増すと,構成方法も多様となり,リズム感を確保するデザイン的調整も複雑です.
プログラミングも離散的になると計画性もサイコロ任せになりがちです.自作自演の難しさがここにあります.

arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312203.png : Performed by CDS & Blender & APS
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 3Dデータの造形譜は,静物画を描くように,視点を変えることによって多様な平面的構成が表れます.写真家が撮影するようにライティングやアングルを定めることで,多様な解釈が可能です.
 空間と平面との出会いが始まるのは,極めて必然的現象です.建築術はそんな問題を平行投象図という有り得ない視点から解決してきたのでしょう. 透視図法とは,空間を平面に直す手法ですが,そのとき,空間的バランスと人々の視覚上での平面的バランスを巧みに取り合わせることで,絵画としての独自のハーモニーを生み出したともいえます.どうも人間は太古より飽きっぽいようで,そこに長くは止まらないようですが.(笑)

arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312204.png : Performed by CDS & Blender & APS
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さて,3Dデータがあれば格好良い写真がとれそうでしょうか?





Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312206.png : Performed by CDS & Blender & APS
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arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312207.png : Performed by CDS & Blender & APS
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arsnote
Formative Score//KG10031220.obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance//KG100312208.png : Performed by CDS & Blender & APS

日々図面と格闘している人なら一番上の線だけの造形譜を見るだけで構成の仕組みを見抜けるかもしれません.また全体的な雰囲気に目配りのきく方なら.一見ごちゃごちゃした上面からのパースの効いた画像がヒントになるかも知れません.そんなことを意識しながら是非もう一度ぐるりと巡って見てください.もしここに違和感のない建築的構造を仕組めれば,あなたの建築的センスは抜群です.中空に浮いた壁なんて….そうです,そこがパーフォーマーの腕の見せ所.2オクターブ届く手なんてないですよね?手首まで裂かなきゃ…?でもパイプオルガンや電子ピアノならできるのかな?(笑) 身体性による有限も,譜面同様に自由を身近に留める作用があるのです. isi

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