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  研究近況 101112131415 更新:>> 12/04/28   

 意見交換のため,造形譜(Formative Score)に関する資料を一部公開しています.

 研究の経緯はこちらの論文の第2章をお読み下さい.
造形譜による作品の紹介はこちらです.

■Formative Score
Paper:100430

「モデュール表を使った造形譜のための構成システム」
1)笹田 晋司,2)石垣 健
1)日本電子専門学校 〒169-8522 東京都新宿区百人町1-25-4
2)アルスノート研究所 〒140-0015 東京都品川区西大井3-12-3
Composer system for the Formative score
Using Module Table

Shinji SASADA and Ken ISHIGAKI
Japan Electronics College. 1-25-4 Hyakunin-Cho, Shinjuku-Ku, Tokyo 169-8522
Arsnote Lab., Nishi-Ohi 3-12-3 Shinagawa-ku, Tokyo 140-0015, JAPAN
Abstract: It’s Musical score like, the Formative score equivalent to an abstract representation of the Formative Art. In order to establish the Formative Score we have created a computer program that can output the Formative score written in popular 3D format. In this program, the Module table including the rhythmic data and proportional data can compose the Formative Score. Separation of constructive process and numerical data, can lead to an analytical understanding of the formation process. And also it can clarify the difference of pattern recognition.
Keywords: Formative Score, Module table, composition, rhythm, proportion

研究目的:音楽の楽譜のように,造形芸術の記譜的な抽象表現の確立を目指す.その基礎 的認識の為に,構成パターンの類型化のデータ,プロポーションの組合せ,ポリリズム的 配列,シンメトリーとしての対応配列をモデュール表として統合し,そのデータを元に構成される造形譜の表象と対比することで,形に対する人の抽象的認識のありかたを探求し, 分析的視点と統合的構成表現をプログラムで結び,造形デザインとしての創発をめざす.

 造形芸術における情報科学的アプローチは,コンピュータグラフィックの目覚ましい発 展を支える背後で着実に前進している.そのプログラミングにおいては,形の客観的認識 が次第に整い,自然形態の表象的シミュレーションを行えるようになってきた.しかしな がら,形から見る造形芸術は単なる自然の模倣ではなく,人間としての認識と解釈や,イ マジネーションによる賜物であり,自然とそこに内包される人との創発的表現と言える. 芸術家が生涯をかけての試行錯誤により到達する状態,この複雑で分離しがたい繭状の現 象をほんの少しでも解明しようという好奇心をもつならば,その糸口としてこの半世紀に わたり,人々の造形プロセスがプログラマーによって翻訳され,心体の外部へと実働する 言語で記述され続けてきたことに注目すべきである.遅々として解明が進まない美的形式 と言われる領域への客観的アプローチ.それらは一見して解るパターンの場合もあるが, 繰り返しを見せながらも収束の予測が付きにくいカタストロフィーでもフラクタルでもない場合がほとんどだ.つまりは,極めて単純な循環的事象のもつ多様な可能性.移行的変位とその調和によるパターンやその周期に準じた展開,対比的な突然の変位もその形に加わる.そしてそこには,同期して湧き上がる人間の内面的表象も加わっているのだ. まるでポーカーゲームのような様相を呈する美意識の流行.理屈などお手上げである.しかしそこにこそ,なんとしても科学的視点を投げ出さずに着実な認識と解明を求めなければならない.それこそが芸術と科学を極めるパラダイムであるはずだからだ.情報科学・工学・技術が人間にもたらした社会現象とは,「汝自身を知れ」ということに他ならない.

  先ずは,ディテールを排除し,蓋然的な把握を行うため,楽譜のような可視化を伴ってパターン認識しやすい記述が必要だ.ポーカーといえどもトランプという明快な周期性から生まれる現象だ. 基本条件を探るため,初歩的な空間認識の実験を行う構成プロセスを定めた.
 1) ワールド座標系(3D)に一つの空間領域として,各軸方向の 寸法・回転・位置を設定*する.
 2) 指定された空間領域に配置される空間要素(造形譜も使用可)をファイル名で指定し,3次元配列として設定*(例えば縦4×横4×奥行4の64要素).各空間要素の寸法,回転,位置を設定*する.
 3) 各ローカルな空間要素の中に対応する要素グループの 寸法,軸回転,位置を設定*する.
 4) 配置された要素に関する要素環境条件と全環境条件を設定*する.
 5) 対応する要素を,すべての設定*条件にしたがってデータ変換し,空間領域に配置.
 6) 結果を簡便に描画しながら,造形譜としてファイル出力をする.
 7) 条件分岐から再帰条件に従って 2)から繰り返す.
 8) 出来上がった造形譜を一定条件で可視化し,個々の実感を注視しながら観察・評価することで慎重な検証をおこなう.  
* 各設定はモデュール表の各モデュール別要因指定 (データ配列)に従って行われる.

q
[図1]
csv
[図2]
q
[図3]
 この実験では,要素としての図形データと,要因としてのリズム,シンメトリー,プロポーションの配列データ,そしてそれらの交配を決めるモデュール表(エクセルなどのCSVファイル)[図2]によって,プログラムの構成プロセスを調整した造形譜から生まれる様々な表象[図1],[図3]を比較し,モデュール表の抽象のレベルを確認した.

詳細は,http://www.arsnote.com/arno/works/work00.html に掲載.
参考文献:『知恵の樹』ウンベルト・マトゥラーナ&フランシスコ・バレーラ 著 管啓次郎 訳1987 朝日出版社
 


Formative Score// .obj : Designed by Ken ISHIGAKI(Arsnote) & Shinji SASADA(Arscomposer)
Performance// .jpg : Performed by CDS & Hira 3D Viewer & Blender & APS
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